労使協定派遣労働者の賃金決定方法
一般賃金と同等以上を確保
派遣労働者が従事する業務と同種の業務に従事する一般の労働者の平均的な賃金(以下「一般賃金」とします。)の額と同等以上の賃金の額となるものである必要があります。
具体的には、派遣先の事業所の地域において派遣労働者が従事する業務と同種の業務に従事する一般の労働者であって、当該派遣労働者と同程度の能力及び経験を有する者の平均的な賃金の額と同等以上であることが必要です。
労使協定には、派遣労働者の業務ごとに比較対象の一般賃金を計算し、派遣労働者の賃金と比較して同等以上であることがわかるよう記載しなければなりません。
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賃金の改善
協定対象派遣労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験その他の就業の実態に関する事項の向上があった場合、賃金が改善されなければなりません。
具体的には、手当を追加支給すること、新たな派遣就業の機会を提示することなどであり、措置の内容を労使協定に記載することが求められています。
そのため、労使協定には以下のように条文にします。
例1)甲は、第5条の規定による対象従業員の勤務評価の結果、同じ職務の内容であったとしても、その経験の蓄積及び能力の向上があると認められた場合には、基本給額の1~3%の範囲で追加の手当を支払うこととする。また、より高い等級の職務を遂行する能力があると認められた場合には、その能力に応じた派遣就業の機会を提示するものとする。
例2)甲は、第5条の規定による対象従業員の勤務評価の結果、同じ職務の内容であったとしても、その経験の蓄積及び能力の向上があると認められた場合には、昇給は勤務成績等に応じて1号俸から5号俸までの範囲内で決定するものとする。
例3)甲は、第5条の規定による対象従業員の勤務評価の結果、より高い等級の職務を遂行する能力があると認められた場合には、その能力に応じた派遣就業機会を提示するものとする。ただし、これに相当する機会を提示できないときは、同勤務評価の結果に応じて、基本給額の1~3%の範囲で追加の手当を支払うこととする。
まとめ
一般賃金と同等以上を確保すること及び賃金の向上にかかる根拠は、労働者派遣法第30条の4第1項第2号のイとロです。このため、労使協定に記載されていなければ、労働局から指導が入ります。特に、賃金の向上については、「場合がある」といった書き方は認められず、必ず向上させる内容でなければならないことに留意が必要です。
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