労使協定(労働者派遣法)の通勤手当

通勤手当の比較方法

 通勤手当について、一般賃金と同等以上であるとの確認は、以下の二つの方法のいずれかにより行いますす。なお、一つの労使協定に双方を選択することもできます。

① 実費支給により「同等以上」を確保する

 就業規則などで、通勤手当の額を具体的に定めており、実費全額が支給される場合は、一般通勤手当と同等以上であるものとします。ただし、当該通勤手当の額に上限があり、通勤手当の額が、実費に満たない協定対象派遣労働者がいる場合は、その上限額を協定対象派遣労働者の平均的な所定内労働時間1時間当たりに換算した額が、当該額が「72円」以上とならなくてはいけません。

(例)上限1万円/月、所定労働時間171時間/月の場合

   10,000円÷171時間=58.5円 < 72円  → 基準に満たないため、差額を加算する必要があります。

② 一般の労働者の通勤手当に相当する額と「同等以上」を確保する

 一般の労働者の通勤手当に相当する額と「同等以上」を確保する場合一般の労働者の1時間当たりの通勤手当に相当する額を一般通勤手当とし、当該額を「72円」とする。

 ※この72円という金額は、以下の方法で決定されているため、統計が新しくなるタイミングで変更になることがあります。

「平成25年企業の諸手当等の人事処遇制度に関する調査(独立行政法人労働政策研究・研修機構)」の通勤手当の平均額を「平成25年賃金構造基本統計調査」の所定内給与及び特別給与の合計額を除して得た「給与に占める通勤手当の割合」に「令和4年賃金構造基本統計調査」の所定内給与及び特別給与の合計額を乗じて得た額に制度導入割合を乗じて得た額を時給換算した額

その他

 上記の①を選択している場合、例えば、派遣就業の場所と居住地の間の距離が1㎞未満を「徒歩圏内」として通勤手当を支給しないことを労使で十分に協議した上で合意していれば、実費支給と認められます。ただし、人事院規則(原則として2㎞未満の場合には通勤手当は支給しない)等を参考にしつつ決定することとなっているため、徒歩圏の設定には留意が必要です。

 また、通勤費用を客観的に特定することが困難な場合に通勤手当を、「1~2㎞の場合は●円、2~3㎞は●円、・・・」と距離に応じて定額で支給している場合、実費支給と取り扱えます。ただし、支給額が実費相当といえることが必要であり、不当に低い額で設定してはいけません。

まとめ

 通勤手当については、上記①実費支給により同等以上と認められる場合以外は、一般労働者の平均賃金に地域指数を乗じた額に上乗せして比較することになります。なお、上乗せの方法については、次回退職手当について解説した後に、また記事を掲載していく予定です。

《参考》厚生労働省HP 同一労働同一賃金

労使協定イメージ PDF版[683KB]  Word版[219KB]  ※令和5年1月31日公表版

令和6年度局長通達

労使協定方式に関するQ&A(集約版)[615KB](令和5年1月31日公表)

 

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